外の陽気も、店のメニューも、秋の色が強くなってきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
つい先日、友達と、こんな話をしました。
昔、夏目漱石は、「I love you. 」を「今夜も、月が綺麗ですね。」と訳したそうだ。なんか、ちょっとキザなような気もするけど、頭のなかに情景を思い浮かべると、日本人的でいいなぁって思う。
そうなんです。「I love you. 」を直訳すると、「私はあなたを愛してます。」になるんだけど、当時の日本人で、愛してるなんて、誰が使って居たんだろう。たぶん、こんな直接的な言葉を使わなかったんじゃないだろうか。日本独特の言い回しを使ったり、はにかむような言い方をしたのかなって思う。例えば、「結婚してくれ。」は、「毎朝、俺に味噌汁を作ってくれ。」とか、「一緒の墓に入ろう。」とか。こんな感じの間接的な言い方。これが、夏目漱石という文豪になると、もう少し情緒的な表現になるのだろうけど。
なんにしても、現代の表現は、直接的なものが多い気がする。もちろん、キチンと言わなければならない時もあるけど、うちのような居酒屋に来てお酒を呑んでいるときは、夏目漱石になったつもりで、情緒溢れる表現で、季節の肴とお酒を楽しんでみてはどうてましょうか?
「ひやおろし、ぬくもり恋しく、人肌燗。」
どうも、私には、文才がないようで。
お粗末。