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初秋、秋刀魚、秋ナス、ひやおろし

少しずつ、暑さも和らぎ、秋の気配を感じる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

喜市のメニューにも、秋らしさが出てきて、夏を惜しむ感じになってきました。

秋刀魚に秋ナス、明石、瀬戸内の夏の終わりと、秋の訪れを告げる、うおぜ、サワラが出てきました。

今年は、秋刀魚もサイズこそ小さめですが、量的には多く、明石でも、サワラがまずまずといった感じです。サワラは、炙り、塩焼き、西京焼き、ちり蒸しなど、どんな食べ方でもいい感じ。

日本酒は、いよいよ「ひやおろし」。ほどよい酸味に、熟成感。冷酒でも、冷やでも、ぬる燗など温めてもいい感じ。中秋の名月でも眺めながらなんて、素敵ですね。

秋の日本酒

9月になり、早々に、台風が猛威を奮い、改めて、自然の脅威を認識させられる9月のスタートになりました。

子供の頃、今から30~40年前、9月に台風は来ました。しかし、こんなに被害が出たか?電車止まったか?道路止まったか?と思い出すと、そんなことはなく、台風が近づくと、懐中電灯やロウソクを準備して、ドキドキして終わった記憶しかありません。

では、もっと昔はどうだったのだろう。もちろん、今と変わらず、台風が来てたと思う。

そんな中、酒蔵はどうなんだろう?大丈夫か?最近では、台風や天災が起こると、そんな心配をします。職業柄でしょうか。

9月になり、秋を意識しだす頃になると、「ひやおろし」が気になります。

「ひやおろし」とは、ひと夏熟成の生詰め。

昔は、春に造ったお酒を一度火入れしたのち、ひと夏熟成させ、蔵の中の温度と外気温が同じぐらいになった頃、冷のまま(火入れせず)卸したことから、「冷や卸し」といったそうです。また、ひと夏熟成させ、酒質が上がったお酒を「秋上がり」といったそうです。逆に、酒質が悪くなったお酒を「秋下がり」といったそうです。

最近では、残暑が長く厳しいので、9月の初旬に、蔵の中の温度と外気温が同じぐらいになることはないではないでしょうか。ですから、昔と同じぐらいの期間熟成させて、「ひやおろし」や「秋上がり」が出てきても、世間では、まだまだ、残暑厳しい夏なんて年も珍しくないです。

とはいっても、やはり、この夏の期間熟成させたお酒は、丸味おびた味わい、熟成感のある旨味、ほどよい酸味と、「ひやおろし」ならではの特徴を持ってます。

秋には、今では、忘れられがちですが、「重陽の節句」があります。「菊の節句」とも呼ばれますが、大昔、菊の花は、薬として用いられてました。また、奇数は陽、縁起の良い数とされ、その中でも、一番大きな数、「九」が重なる日、9月9日が「重陽の節句」と呼ばれ、五節句の一つに数えられました。

この「重陽の節句」に、「菊酒」なるものが飲まれたそうです。庶民のあいだでは、日本酒に菊の花びらを浮かべただけのものだったそうですが、今年は、せっかくですので、お気に入りの「ひやおろし」に、菊の花びらを浮かべて、季節と共に「ひやおろし」を楽しんでみてはいかがですか?秋の味覚に舌鼓を打ちながら。