月別アーカイブ: 2017年9月

夏目漱石なら、

外の陽気も、店のメニューも、秋の色が強くなってきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。

つい先日、友達と、こんな話をしました。

昔、夏目漱石は、「I love you. 」を「今夜も、月が綺麗ですね。」と訳したそうだ。なんか、ちょっとキザなような気もするけど、頭のなかに情景を思い浮かべると、日本人的でいいなぁって思う。

そうなんです。「I love you. 」を直訳すると、「私はあなたを愛してます。」になるんだけど、当時の日本人で、愛してるなんて、誰が使って居たんだろう。たぶん、こんな直接的な言葉を使わなかったんじゃないだろうか。日本独特の言い回しを使ったり、はにかむような言い方をしたのかなって思う。例えば、「結婚してくれ。」は、「毎朝、俺に味噌汁を作ってくれ。」とか、「一緒の墓に入ろう。」とか。こんな感じの間接的な言い方。これが、夏目漱石という文豪になると、もう少し情緒的な表現になるのだろうけど。

なんにしても、現代の表現は、直接的なものが多い気がする。もちろん、キチンと言わなければならない時もあるけど、うちのような居酒屋に来てお酒を呑んでいるときは、夏目漱石になったつもりで、情緒溢れる表現で、季節の肴とお酒を楽しんでみてはどうてましょうか?

「ひやおろし、ぬくもり恋しく、人肌燗。」

どうも、私には、文才がないようで。

お粗末。

ひやおろし入荷。

そろそろ、秋の兆しを感じはじめた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?

九月に入り、当店にも、秋の味「ひやおろし」が入荷しはじめました。

ひやおろしとは、ひと夏熟成の生詰めのお酒。ですが、最近は、お盆明けには、ひやおろしを出してくる蔵元さんもあります。

喜市では、一応、毎年、9月に入ってからメニューに出してます。私としては、やっぱり、少しでも、秋を感じはじめてから、呑みたいものですから。

朝晩が冷えてきて、サンマが出てきて、イチヂクが美味しくなって、初秋を感じはじめたら、ちょぴり酸味効いたひやおろしが、冷やでも、ぬる燗でも恋しくなります。

ちょっと涼しくなってきた今日この頃、去り行く夏を惜しみ、訪れる秋を心待ちにしながら、ひやおろしはいかがでしょうか。